決意

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決意

 紗英はシェアハウスの生活に慣れ始めていた。  気は使うが、今までだって一人で生活していたわけではなかったので、林さんが心配するほど煩わしさは感じずに日々を送っている。  小さな部屋だが、元々荷物の少ない紗英にはなんの支障もない。マットレスと布団一式、その他の生活用品を購入すれば生活を始められる点は大いに助かった。五年間、石田さんに甘えっぱなしの生活だったので、お金もそれなりに貯金出来ていたから順調なスタートを切れたと言っていい。  石田さんと言えば、一度事情聴取的なものを受けたが、紗英は本当に何も知らなかったので警察で話すようなこともあまりなかったし、もちろん何の罪にも問われなかった。もしかするとこの時の為に、石田さんは紗英になにも話さなかったのかもしれない。何かしら聞いていたら、罪に問われたり怪しまれたりする可能性があるから、何も言わず、何も語らずに去って行ったのだと思うようになった。
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