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紗英は自分の傍らに置いてあったエアコンのリモコンを掴むとエアコンに向けてスイッチを押す。するとリモコンは素直に吹き出し口を閉め静かになっていく。
私もやり直したい。悲劇のヒロインみたいにくよくよしていないで、今度はしっかりと自分の意志を持って生きていきたい。
選ばれるのを待つのではなく、いっちゃんを選ぶ。
いっちゃんが居れば幸せだった。だから、何がなんでも一緒に居たい。
いっちゃんに彼女が居るなら、単なる幼なじみでもいい。いっちゃんが結婚したら、昔話を笑ってスピーチする役をやってもいい。いっちゃんの子供が出来たら、小さい時のいっちゃんそっくりとか言って笑うんだ。
本当は一番近い隣に居たいけど、そこから外れたのは何を隠そう紗英自身なのだ。その場所にすでに誰かが居るなら、違うポジションでも仕方がない。それでも側に居たいのだから。
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