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捨てられるとか、選ばれないとか、弱音ばかり吐いていないで、とにかくいっちゃんの近くにいる。
邪魔はしない。だからと言って遠慮して一緒に居ることを諦めない。
石田さん。やり直したいですよね。私の相手は生きています。だから、小さな事にはめげずに食らいついていきます。
お母さんが死んで、お父さんもやはりやり直したかったのかもしれない。お母さんとはやり直せないから、石田さんのように違う人をその人に見立てたりしていた可能性もある。
お父さんをまだ許せる訳じゃないけど、なんとなく最近はそんな風に思ったりしていた。
紗英は立ち上がって掛け布団から下りると、布団を捲って中へ入る。
いっちゃんの温もりを直に感じられなくても、いっちゃんはいつでもどんな時でも温かかった。忘れてはいけなかったし、もう忘れない。いっちゃんは紗英にとって宝物なのだから。
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