決意

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 壱の食生活は一ヶ月前とは比べものにならないほど改善していた。  ほうれん草のお浸し、肉じゃが、キャベツとベーコンの炒めた物、人参とレンコンの金平、サエが一度に持ってきた惣菜の数々。ご飯を炊いて、例えばコンビニでメインを一品買い足せば、バランスのいい食事がとれる。一応、味噌漬けにした豚肉も冷凍して持ってきてくれているのだが、焼くだけでも平日は面倒だったりするので、それは休日用にとってある。 「すげぇ! 材料費、払う」 「え、いいよ」 「いいわけないだろ。幾らかかった?」  渋るサエを壱がじっと待っていると、結局サエが折れて、財布からレシートを取り出した。壱はそれを受け取ると、ビジネスリュックから財布を取り出す。 「半分でいいからね。私の分も含まれてるから」 「いや、毎日夕飯弁当買うとかなりかかるから、これくらい安いって。手間賃も考えたら俺が全額払っても足らないくらいだ」
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