200人が本棚に入れています
本棚に追加
/187ページ
こうやっていっちゃんが通勤に使う電車に揺られて、きっといっちゃんが毎日見ているであろう景色を眺める。
珍しいほど幅の薄いビルが目の前を通りすぎていった。いっちゃんもきっとこの目を引くビルを知っているだろう。そう考えるだけで、なんだか嬉しい。
今日はいっちゃんの家に行く予定ではなかったけれど、タッパーを引き上げに行くと言う理由を見つけて仕事終わり、急行電車に飛び乗った。
紗英が働いている花屋は二十四時間営業なので、勤務時間の変動が激しい。だから、紗英が休みの日にしかいっちゃんには会えないと諦めていた。でも、まだ日が残っているうちに上がれた日曜日。いっちゃんがきっと家に居ると思ったらいてもたってもいられず、思わず行動に移していた。
ワクワクするし、ドキドキもする。あんなに会いたかったいっちゃんに、気持ち一つで会いに行ける。会いたい、だから行く。これが好きだってことなんだなぁ。他の誰でもないいっちゃんに、会いたい。
最初のコメントを投稿しよう!