答えは海に沈んでいる

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 家に通されてから、待ち構えていたおじさんにも頭を撫でてもらい、また涙がこぼした紗英だった。その後は少し落ち着いて、よく見知ったいっちゃん()のリビングで四人揃ってケーキを食べた。いっちゃんの弟 新は高校生になっていて、部活に行っていて留守にしていた。  おばさんはこれまでどうしていたのかは聞かずに、今度はいつ来るのかばかり気にして、おじさんに何度も窘められていた。 「花屋さんの仕事が忙しいってさっき言っていたじゃないか」 「でも、春物見に行きたいし……そう言えば新大久保のさぁ」  おばさんは紗英と行きたい場所をあれこれ挙げて、しまいには立ち上がって壁に貼られたカレンダーまで捲り始める。いっちゃんの家にあるカレンダーは毎年可愛らしい兎のキャラクターだ。五年経ってもそれは変わっていなくてそんなことでほっこりする。 「俺だってまだどこにも行ってないんだからさぁ」  いっちゃんが母に向けて言うとサエが横から「いっちゃん。私、あそこに行きたい。海」と、言ったのでおばさんが振り返った。
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