答えは海に沈んでいる

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「ああ……そうね。いってらっしゃい。夕飯作って待ってるから。夕飯食べるでしょ?」  いっちゃんは横にいるサエを見ると、サエはその顔を見てからいっちゃんの母親と父親を見てから言う。 「あの、私がお金を出すので゛いちはま寿司゛に行くって訳には行きませんか?」  駅の近くにある、この辺りでは美味しいと評判の寿司屋だった。海に近いこともあり、新鮮な魚がいくらでも食べられるが、やや値の張るいちはま寿司で食べる寿司は格別だ。おいそれと気楽に行けない特別な店なのだ。  その申し出にいっちゃんの父親が「そこなら金は私達が出すよ」と言うと、壱が横から口を挟む。 「俺が初任給で家族にご飯ご馳走したって話したら、サエもしたいって言い出してさ」 「あら……それは嬉しいけど、えっとほらお父さんいらっしゃるじゃない?」  サエは視線を泳がせた。その場にいる全員が親子の関係を理解しているが、いっちゃんの母親は大人としてそう言わざるを得ないのだとサエは理解をしていた。 「父には……ネクタイか何かを渡します。でも、私をずっと見守ってくれていたのはいっちゃんちの皆だから……。おかしいのはわかっています。でも、私も普通にそう言うことをしてみたくて。するなら、相手はいっちゃんちのおばさんとおじさんだと思って」
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