答えは海に沈んでいる

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 いっちゃんの父親がいいんじゃないかとおばさんに促すと、おばさんも嬉しい話だもんねと承諾してくれた。  話がまとまったので、いっちゃんと二人であの海へ行くために家を出た。外に出ると直ぐに紗英がキョロキョロと辺りを見渡し始めた。 「どうした?」 「いっちゃん、昔みたいに自転車で行きたい」 「車なら直ぐだろ」 「お願い、いっちゃん」  壱は眉間をカリカリ掻いて渋っている仕草を見せたが、結局「何年も放置してたから乗れるかなぁ」と自転車置き場に確認しに行った。  紗英はその場で残っていてとジェスチャーで指示されたので、素直に待っていることにした。  一人待つ、いっちゃん()の庭。昔は手作りの木枠に砂を入れた砂場があったのだが、今は土に変えられていて葉牡丹が植えられていた。でも、陶器で出来たウサギは昔と寸分かわらぬ場所に居る。色は紗英が小さい時から褪せていて、それは今も変わらない。  家の外壁はもっとグレーに近い色だった気がするが、その辺は定かではない。  五年と言う歳月。変わらないものもあれば、変わっていくものもある。
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