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1  白く、細く、長く、私のために深爪にされた指が、全て露わになった私の肌の上を這っていく。私が元々どこが好きだとか今日はどこに欲しい気分だとか、そういった何もかもを熟知した動きで、私の臍の辺りからすうっと降りていく。私はいつも陰毛は処理しているから、指は何の抵抗もなくそこへ至る。  私は小さく、わざと甘みを増した息を吐きながら、瞼を上げた。私に覆い被さるひとと目が合って、どちらからともなく唇を重ねる。熱くてやわらかくて、そんなはずはないのに仄かに甘い。男のそれとまるで違う感触は、まるで果実酒みたいに、私をゆるやかな酩酊へ誘う。  頭の中を駆け抜けた衝動に従って、彼女の唇を舌でこじ開ける。両手で彼女の頭を引き寄せて、口腔内を犯していく。彼女も応えてきて、真っ暗な密室にぐちゃぐちゃと音が響く。こうして嘔吐いてしまいそうになるまで犯し合うのが私たちの常。繋がれない私たちのセックスの真似事。絶え絶えになる息は快感でもあり、苦でもあった。     
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