ジョブ決めって大事

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ハルの家系は代々踊り子をやっている家系だった。魔物退治だけでなく、日常のパフォーマンスとしての仕事もある踊り子は平和な今の時代にはちょうど良いジョブだった。しかしハルは男だ。女なら迷わず踊り子をやっていただろうが、あいにく男だし見た目も平凡だった。母や姉はそれはもう美しい踊り子だが、ハルには釣り合わない。本当に家族なのかと疑いたくなる程度だった。 列が進み、ハルの番になる。 大僧侶がハルの頭に手を置いて何か呪文を唱える。ジョブ獲得の儀式だ。そこで適正なジョブを神から啓示を受け、一人前の大人となるのだ。そして、そのジョブとは。 「ハル、お前は踊り子だ」 「はい。え、は?踊り子?」 ぽかんとした阿保面を大僧侶に向ける。素っ頓狂な声が出た。いやいやいや踊り子って冗談だろ、男だぞ?てっきり剣士とか魔法剣士になるだろうと思っていた。それがよりによって踊り子。心当たりはありまくるがそれは家系で女だったらの話。男のハルにとって踊り子は考えも寄らないことだった。 「ハル、お前は踊り子だ。啓示は示された。早く行け」 「いや、あの、ちょちょちょっと大僧侶様?あの僕男」 「行きなさい」 「はいっ」 大僧侶様の圧に押されてそのまま従い、ジョブの獲得部屋へと促される。 いや、僕男だよな?踊り子?はへ?いやいや、わからなすぎる。どういうこと? ハルの頭の中はハテナでいっぱいだった。神の啓示は絶対だ、大僧侶様が間違うはずもないだろう。でもじゃあなんで踊り子?僕が?男なのに?     
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