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後ろから体を押される。ハルは心の準備の出来ないまま酒場に入っていった。
「ようこそ酒場へ。あら、成人おめでとう!」
「この人悩んでるみたいなんで俺から先にパーティー登録お願いします」
ハルを押した人物がハルを押しのけて酒場の受付へと話しかけた。その姿には見覚えがある。
「タクト?」
「あ?ハルじゃん!」
タクトは学校時代のハルのクラスメイトだ。少し嫌味な物言いが苦手だったけれど、成績は優秀なよく出来る男だった。
「お前ジョブ何?俺魔法剣士、いやー憧れてたんだよね魔法も使える剣士って。マルチな才能って言うの?すごいカッコイイよな」
お前はどれどれ?と胸の札を覗き見る。ハルはどうしていいか分からずただ石のように固まってしまった。こいつに踊り子なんて知られたら何を言われるか分からない。しかし誤魔化す術がない。どうしよう。
「え?は?踊り子?お前が?」
タクトが戸惑うのがわかる。自分でもどうしたら良いか分からなかった。否定も肯定もできずただ俯く。
「え、うっそだろお前!はははははははこりゃ傑作だ!」
タクトは状況を理解して、そして爆笑した。笑い声が酒場に響き渡る。タクトは笑い過ぎて涙目になりながら、ハルとハルの胸についた札を交互に指差した。
「お前が?踊り子?男なのに?」
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