ジョブ決めって大事

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「そうみたいなんだよねぇ…」 こいつにだけは知られなくなかったと、今更ながらに思う。案の定ひたすら笑い転げたあと、いかにもわざとらしくふざけてみせた。その整った顔すら憎たらしい。 「じゃあお前なんか踊ってみせろよ」 「無理だよ踊りなんて、恥ずかしくて」 「じゃあ俺のパーティーに入れよ」 タクトはそう言ってハルの腰を引き寄せた。整った顔面が息がかかるほど近くにある。ハルは驚きで心臓がどくりと跳ねた。タクトの黒い瞳がハルの困惑した表情を写し出す。何を言えばいいのか考えあぐねて口をパクパクさせていると、ハッと鼻で笑ったタクトがハルの体を突き放した。 「馬鹿冗談だよ、本気にするなって。お前みたいなキモい踊り子仲間に入れるわけないだろ。美人のチャンネーになってから出直してこい」 そう言ってハルに背を向けて酒場の奥へと入っていった。ハルはひどく屈辱感を覚えた。元から成績も良く、見た目も良いタクトが魔法剣士というのさ完璧すぎるだろ。僕なんて平凡で特に取り柄もない上に男の踊り子だぞ?ハルは大きくため息を吐いた。神よ、何故こんな仕打ちを受けなければいけないのですか?
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