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パーティーメンバー募集は地獄のような出来事だった。
酒場の受付のお姉さんに自分のジョブを言うと、マッチングさせてくれるのだが。
「こんにちは。あなたはどんなジョブですか?どんなジョブでもすぐにマッチングしますよ」
受付嬢が満面の笑みで微笑む。ハルは自分のジョブを言い出すのが怖く、口ごもってしまう。大丈夫ですよ、初めは皆怖いものですから、と優しく宥めてくれる受付嬢に背中を押されてハルはおずおずと口を開いた。
「あのー…、踊り子なんですけど」
「はい?」
受付嬢が目をパチクリさせる。そりゃそんな反応にもなるわけだ。男の踊り子なんて前代未聞、聞いたことが無かった。
「踊り子…ですか、あぁはい、少々お待ちください~」
そう言って受付嬢は奥へと引っ込んでしまう。胃がグルグルしてきた。踊り子を欲しがるパーティーは沢山あるだろう。しかしそれが男となると話しは別だ。絶対に入れてもらえないに決まってる。
「お待たせしました~、あちらが一応踊り子募集のメンバーさんたちです」
一応と付け足した受付嬢に苦笑いしながら、パーティーの方へと赴く。ガタイのいい男達が立ち並ぶ場所にハルは一足踏み入れて、やけくそに叫んだ。
「踊り子のハルです!よろしくお願いします!」
「はあぁ?お前が踊り子だぁ?ふざけんのも大概しろ!」
「ですよね~失礼しました!」
勢いに任せて謝りその場に背を向ける。当たり前の反応だが待遇の悪さにハルは目を閉じておいおいと泣き真似をした。そうだよなぁ~男の踊り子なんて誰も需要ないよなぁ。皆ムチムチバディの可愛い踊り子ちゃんを期待してるに決まってる。こんなヒョロガリの男なんて見当違いもいい所だ。
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