第10章 1年後⑤

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 ゆっくりとゆっくりとこの世界を夜色に染めていく。  空気はとても綺麗で。故郷地球では車の排気ガスがとても臭かった。  空はとてもじゃないけど暗くならずいつまでもいつまでもビルの明かりがともっていた。  風はとても気持ち悪い感じだった。  ここがとても自然に満ち溢れており。  人類が求めた理想郷なのかもしれない。  それでも人類は故郷を取り戻す必要がある。  そしてそこに辿り着いたとき、騒ぎが拡大していた。   ―――フォケジー―――    フォケジーは悲しみを思いだす。  それが沢山の悲しみではなくて1人の女性の事を思う。  空欄銃凛それが彼女の名前、通称空欄嬢だ。彼女はぼろぼろになったフォケジーを助けてくれた。毎日のように乞食のフォケジーにパンをくれた。  死にそうになっているフォケジーをお爺ちゃんのように助けてくれた。  彼女はフォケジーを放っておけなかった。  フォケジーがエルフの街の皆からゴミのように扱われている。  それがなぜなのか、フォケジーは無生物を消すことができる。  それだけでは奴隷商人に勝てない。  フォケジーは奴隷になった。  しかしフォケジーは奴隷にならなかった。  買いたい人が誰もいなかった。  ゴミのようなブリーフ一丁の爺を欲しいと思う奴はいなかった。  そんなある日台風が来て飛ばされる前の日、この街に危険が迫っている事を、気象予報士関係の職業の人が告げた。  人々は建物に板などを張り付けて飛ばされないようにした。    だがどこの建物にも入れなかったフォケジー。
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