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サルの惑星
賢次は一人乗りの宇宙船で宇宙を旅していた。闇の中に無数の星がダイヤモンドのように輝いていた。しばらくは気持ちよくうっとりと星に見とれていたが、やがて磁気嵐に見舞われた彼の宇宙船は、サルの惑星に不時着したのだった。
「助けてー!」と女の悲鳴が聞こえた。
声の方へ行くと、人間の女がサルから拷問を受けていた。
「何てことだ。」と賢次は悩ましげに言った。「女房がサルになっている。」
しかもそのサルは鬼神のごとく恐ろしい。しかし賢次は知恵をしぼり、夜になるのを待って、こっそりその金髪碧眼の美女を助け出すことに成功したのだった。もちろん鬼神のごときサルも、陰でこっそりその一部始終をお見通しだったのだが。
そんなこととはつゆ知らず、賢次はその金髪碧眼の美女と心を通わせ、甘く情熱的な一夜を過ごすに至ったのだ。
「ぼくは君を愛している。」と賢次はささやいた。「わかるかい。二人で幸せになろう。」
賢次は決心して言った。
「ぼくたちはサルのいない世界でいっしょに暮らすべきだ。」
賢次は自分の寝言で目を覚ますと、妻が口を尖らせ不満そうな顔でにらみつけているのに気付いた。彼はそっと目を閉じ、眠ったふりをし、寝返りを打った。
「おれは地球に戻っていたんだ。」
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