浮遊病

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「あぁー。その顔見ると、やっぱりそうなんだ」 「っていうか、お兄さん…誰?」 「いや、待て待て待て防犯ブザー鳴らすなよ。お兄さんはお兄さんだよ樹生の」 弟の本当の兄は、名前を巽と名乗って。ジュースを奢るからと人目につきやすい比較的にぎやかな公園へ誘ってきた。 「塾とか行ってんの?」 「…今日は、ないけど」 「じゃあ良いじゃん。弟の兄貴なら、俺の兄貴だろ?ちょっと話しようぜ兄貴」 「…普通、逆じゃない?」 「とにかくさ。樹生の事、ちゃんと話しておきたいから。おかんが再婚したって聞いて、結構探したんだよ」 結局俺は断る事も出来ず。 いや、断る理由がなかった。それはジュースに釣られたなんて子供じみた理由なんかじゃなくて。新しい弟の秘密を知りたかったからに、他ならなかった。 「本当にこれで良かったのか?」 「うん」 「変なガキ」 「兄貴なんだろ?敬えよ」 「兄さん買ってきました。どうぞ!」 巽は膝をついて両手を差しだし。その手から、わさびコーラを受け取った。 「…小学生だよな?」 「ランドセル背負う中学生とかいんのかよ」 「小学生なのに、わさび行けるの?」 「本物のわさびはまだきついから、これで練習してるんだよ」 「うぇぇぇ…俺は無理だな」     
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