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「ズバリ、二キロ太っただろ」
「にっ・・・・」
「図星か?」
壮くんはまだ笑っている。
「ち、ちっ、違うわよっ!! 二キロも太って無いしっ!」私はムキになって、否定した。
二キロも太ってないわよっ!
ほっ、ほんの少しだけっ・・・・太ったけどっ!
「ははははっ、冗談だよ、冗談! ホント、ゆっちゃんは変わんねえな」
ぽんぽん、と優しく髪を撫でてくれた。
壮くんも、私の知っている頃と変わらない悪戯な顔で笑った。手の温もりも変わってない。
亜貴くんの事で悩んだ時、何時も私の事、こうやって励ましてくれたっけ。
この優しい手、懐かしいな。
何も苦しくなかった、純粋に亜貴くんを好きでいた頃に、まるで時が戻ったみたい。
それに、こんなに感情剥き出しで笑ったり怒ったり、久しぶりだ。
今日は、来て良かった。
壮くんに会えて、良かった。
それにしても壮くんたら、随分イケメンになっちゃって。まあ、もともとかなりキレイな顔立ちだし、前から男前だけどね。でも目の前の壮くんは、前よりもっと男前に磨きがかかってる。さぞかしモテるんでしょうね。まだ独身なのかな。指輪してなかったけど。
――ね、抜けちゃおっか。
壮くんについてあれこれ考えていると、耳元で囁かれた。
見ると、長い人差し指を口元に手を当てて、内緒のポーズをしている壮くんが目くばせした。
あとで、と小さく囁いて、私は笑顔を返した。
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