第三話

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 久々に壮くんと二人きりでお話できるなんて、嬉しいなっ。  海外の事とか今までの事、色んな話聞こう。壮くんとのお喋りは、きっと楽しいに違いない。  頃合いを見計らって、壮くんが先に会場を抜け出し、最上階にあるホテルのバーへ向かって行った。そこで落ち合う約束をしていたから、私も時間をずらして適当に同窓会を楽しむ事を切り上げ、バーに向かった。  沢山お喋りしたかったから、亜貴くんには、同窓会が盛り上がって、もう少し飲んで帰るから帰りが遅くなる、って連絡を入れておいた。  向こうも、いいよ、と快く返事を返してくれた。  随分信用されてるのね。微塵も疑われなかったことに、ちょっと落胆した。  少しは早く帰って来いよ、とか、他の男に気をつけろよ、とか言って欲しい。本当に浮気してやろうかしら。  景色の見える綺麗なラウンジバーに、壮くんは居た。じっと入り口を見つめて私が来るのを待っていてくれているみたいだった。私の姿をいち早く見つけると、ちょいちょい、と座った席から手招きしてくれた。 「お待たせ。待った?」 「うん、遅い。俺を五分以上待たせるなんて」 「えーっ、いきなり二人で抜けない方がいいって言ったの、壮くんの方でしょーっ!」  壮くんの隣に腰かけながら、文句言ってやった。何か、こんな風にズケズケ言いたい事言えるのって、久しぶりで楽しい。
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