第四話

6/13
前へ
/131ページ
次へ
 途端にドキン、と心臓が跳ねて、全身が、かあっ、と熱くなった。  突然の事過ぎて、拒むことも忘れてしまった。  唇が離されたから、目を開いて壮くんを見つめた。  どうして? ドキドキしている。どうしよう。  衝撃で、言葉が出てこない。 「ゆっちゃん、君は誰よりも綺麗だ。こんなイイ女、手も出さずに放っておいて、何年も辛い思いさせた挙句、裏切るなんて、俺、絶対に亜貴を赦せない!! 亜貴が君のこと要らないっていうなら、俺がもらう」  今度は、激しく口づけされた。舌が押し入ってきた。 「ん、んんっ・・・・そう・・・・くっ、ん・・・・っ!」  口づけされたまま軽々と抱き上げられ、傍のシングルベッドに押し倒された。  弾みで、握りしめていた写真が宙に舞い、ヒラヒラと舞い落ちていった。  その時、落ちていく写真に写った亜貴くんと、目が合った気がした。 ――亜貴くんは、どんな思いで私を裏切って、どんな風に壮くんの奥さんを抱いたの?  考えようと思ったけれど、再び壮くんの唇が下りて来た。  何度も何度も壮くんに口づけされて、舌と舌が絡まって、くぐもった吐息が漏れた。  離れようと思っても、出来なかった。何度も唇を求められ、ゾクゾクと快感が全身を襲う。  こんなに激しく求められたのは、初めてだった。
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!

691人が本棚に入れています
本棚に追加