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「だって…だって…さっきまで学校にいたんだもん。卒業アルバム撮るってみんなと騒いでいたんだもん…」
それが次の瞬間30歳になってましたなんてだれが信じると思うの。
そんなドラマみたいなことあるわけない。
ぐすぐすと泣き始めたわたしを見かねたのか、正面に座っていた男性が立ち上がってわたしの隣へと座る。そしてわたしの肩に手を回して抱き寄せた。
こんな至近距離に男性がいたことがなくて、思わず手で押し返してしまった。
驚いて男性のほうを見ると、同じく驚いた顔をしていた。
慰めようとしてくれたのはわかるけど、すきなひとが居なければ付き合ったこともなく、兄弟に男がいないわたしは、そんな行動が初めてだったのだ。驚いてしまうのも無理はないと思いたい。それともそんなわたしは普通じゃなくて、いまの女子中学生は当然と言った顔でその行動を受け入れるのだろうか。
ってだいたい、いまだにこの男性がだれだか分からないし。
「……そういえばあなたは一体だれですか?」
「…………そうきたか」
ふーっと大きく息を吐いて、わたしのほうを向く。
「俺だ、俺?覚えているだろう?」
いや覚えているも何も初めて会ったんだから覚えているわけはない。ふるふると首を横に振る。
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