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どこか校内ですれ違っていただろうか。その距離なら会っても覚えていないだろう。もともと男子に興味が無いし。
「…自分で言うのもあれだが、あの時俺相当人気あったんだぜ」
ほんとに自分で言うのもなんですが、このひとが言うとしっくりきてしまう。それくらいかっこいいのだ。納得してしまう。
「って、なんでわたしこんなかっこいいひとと結婚しているんですか!?」
ようやく男性の言う「現実」が形を帯びて見えてきた。実感がわかなかったけど、いまでもわかないけど、どうやら目の前のイケメンと「夫婦」らしい。
いやだって想像をしてほしい。好きなひとすら居なかった数十分前。気づいたら結婚していた、しかもみたこともない知らないひと。しかもそれがイケメン。
男性のいう「わたし」がいまの私と結びつかない。
「申し訳ないんですけど、まだ受け入れているわけじゃないんですけど、あなたとわたしって、その、恋愛結婚なんですか?」
どうも釣り合いが取れないと思うのはわたしだけだろうか。平凡を絵に書いたようなわたしはとりたてていいところ、惹かれるポイントなんてないと思う。現に告白なんてされたことないし。
お見合いなら…いやお見合いでも見初められる気がしない。
「ああ、そうだけど」
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