タイムトリック・パニック 2

7/7
19人が本棚に入れています
本棚に追加
/233ページ
 いくら「結婚している」と須佐くんが言っても、それは彼の主張だ。わたしにとっては無理な現実だ。 「…とりあえず寝室に案内するわ。で、俺はソファで寝る」 「え、いいよ!わたしがソファにいくよ!」  須佐くんの家で家主を置いてベッドで寝るなんて考えらない。  そんな考えを読んだように須佐くんは言う。 「ここはお前の家でもあるだからな」 そう言われてしまったらいまのわたしには返す言葉がない。追い出されたら行くところがないんだから。  まるで外堀を埋められていくように、ゆっくりと「現実」が近づいてきていた。
/233ページ

最初のコメントを投稿しよう!