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いくら「結婚している」と須佐くんが言っても、それは彼の主張だ。わたしにとっては無理な現実だ。
「…とりあえず寝室に案内するわ。で、俺はソファで寝る」
「え、いいよ!わたしがソファにいくよ!」
須佐くんの家で家主を置いてベッドで寝るなんて考えらない。
そんな考えを読んだように須佐くんは言う。
「ここはお前の家でもあるだからな」
そう言われてしまったらいまのわたしには返す言葉がない。追い出されたら行くところがないんだから。
まるで外堀を埋められていくように、ゆっくりと「現実」が近づいてきていた。
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