地方勇者の闇

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 魔物の駆除はいつも俺がやっていたが、それでも多いという認識を持たれていたのは、正直ショックではあった。  しかし、確かに毎日狩っても一向に減らないのは事実なのだ。  原因は明白で、町の近くに古くからあるダンジョンのボスが、未だに駆除されることなく残っているからだ。  魔物の根本的な駆除は町全体の利益にもなるはずと思い、俺はダンジョンのボス討伐を提案した。  しかし、町からの返事は、予想していたよりも芳しくなかった。  危ないから駄目。  倒したら魔物の復讐があるかもしれないから駄目。  今まで誰も倒したことがないから駄目。  失敗したら責任を取れるのか? 等々。  結果だけ見れば完全に却下された形だ。  俺はどうにも納得がいかず、何度か同じ提案をしてみたが、結果は全て却下。  しかも、提案する回数を重ねる度に、町の大人たちの拒否反応は強くなっていった。 「もしお前がやられたら、これから誰が魔物の駆除をするのだ。無責任なことを言うな!」  あるとき、かなり強い語気でそう言われて、俺はカチンときたついでに当然の疑問のぶつけた。 「そもそも魔物が多いのは、本来町で対処すべき案件のはずでしょう。勇者のいるいないは関係なく、本来貴方がた役員が取り組むべき問題なのに、対案もなく却下することこそ無責任ではないですか」     
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