地方勇者の闇

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 何より呆れかえったのは、当人たちはそれが当然だと思っているどころか、自分たちが町のためになる正しいことをしている、と思っているらしいということだ。  彼らのしていることは、どう考えても既得権を守るための保身。そのためなら町が魔物に襲われても構わないという、どうしようもないもの。  あまりにもバカバカしい話だ。  自分が生まれ育ち、のどかで、それなりにいいところだと思っていた場所は、実は既得権益の亡者が食いつぶしていて。  俺はたまたま既得権側に都合がよかったから、大目に見られていたにすぎない。  格安の給料すら、彼らにとっては温情からくる施しのつもりだったのかもしれない。  その事実を認めるのは、なかなか惨めなものだったが、ある意味すっきりした。  こんな町に若い奴が寄り付くわけがない。  友達も出て行って当然。  それでも俺はもう少し、一応愛着というものもあるし、しばらく町にいようかなと思っていた。  だがそれも、母親が夕飯時に放った一言で崩れた。 「最近はまた大人しくしてるみたいけど、もう面倒おこさないで頂戴ね。それと、みっともないから早く痩せなさい」  母としては、何の気なしに言った言葉なのだろう。  今まで通り、息子に対する小言を言うように。     
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