終末の東京は

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終末の東京は

 目を覚ますとそこには、革靴が転がっていた。すり減って薄っぺらくなった靴底を、乾いた泥と血が覆っている。  体を起こそうとすると、アスファルトにくっついていた髪の毛が、ペリペリと音を立てる。頭に手をやるが、既に傷口はふさがっていた。  地面に座ったまま、辺りを見回す。革靴の中身と思われる男が、数メートル先に倒れている。いや、そうとも限らない。靴のない体は、その辺にゴロゴロしている。案の定、俺の足にも靴がない。革靴を拾う。右足だ。  遠くを見ようと目を細める。おびただしい数の肉体の間に転がっているはずの、もう一足を探すが、見つからない。崩れたビルの隙間を歩いている人たちも、視線は地面をさまよっている。目的は同じらしい。  しかたなく、膝に力を入れて立ち上がる。ふくらはぎに痛みを感じ、突き刺さっていたガラスの破片を抜き、足元に捨てる。よく見ると、体のあちこちにガラスが刺さっているが、ふくらはぎの痛みが強くて、何も感じない。     
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