844人が本棚に入れています
本棚に追加
/355ページ
とりあえず、謝るに限る。
「……すみません」
ぱっ、と時計を見る。
シフトに入る時間が迫っていた。
『やらかし』た上に、遅刻なんてできない。
「しっ、失礼します!」
私は、慌ててロッカーへと向かった。
最近、やっと新体制が整ってきた。
便宜上は週休2日でも、毎日店に顔を出さなければいけなかった今までと違って、6月に入ってからは週1日くらいは休むことができていた。
私は、その相澤の7日間のうちのたった1日のお休みの日によりによって発注のミスを『やらかし』たのだ。
さらに、不運なことにその日は鞠枝さんもお休みだった。
やってしまった……
そう思ってももう遅く、夕方に入荷したマーマレードジャムをぼんやりと見つめる。
コンビニではこれくらいの量でも過剰在庫になってしまう。
イチゴやブルーベリーなら何とか売れる。
ジャムは賞味期限が長いから。
だけど……マーマレード……は売れないよなぁ。
……買い取りだな。と覚悟を決める。
しばらく朝ごはんはパンで、マーマレード祭りだ。
私は半分だけ売り場に並べると、そのまま残りは箱から出さずにスタッフルームのほうへと寄せた。
……さ、働くか。
ミスは反省してるけど、落ち込んでいる気持ちはさっさと忘れるに限る。
前向きに、前向きに。
私は落ち込む気持ちを振り払うように、しばらく仕事に没頭した。
最初のコメントを投稿しよう!