愛する人よ、さようなら

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「わかった。わかった。しないから。」 田中くんは逃げるように帰ってしまった。 私だって好きなのに。田中くんが。 「沙希ちゃん。沙希ちゃんって田中くん田中いいよね。」 後ろから声をかけてきたのは光ちゃんだった。 「ま、仲はいいと思うよ。」 「私最近田中くんのこといいなって思ってて。」 嘘。まじか。じゃあ私が入る隙なんてないじゃん。 「沙希ちゃんは田中くんのこと好きなの?」 「好きだよ。でも、私あと2週間後には転校するから。気持ち伝えるの2週間待って欲しい。私、最後に田中くんとの思い出が欲しいの。」 「わかった。」 「それと、私が転校することは、田中くんには言わないで。私から言うから。」 「うん!」 光ちゃんは笑って走っていった。 あと2週間。 大事な思い出が欲しい。
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