修介1

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 がなり声を上げ車体の横に張り付き、弾丸を連射する。助手席のガラスが砕け散り、ドアがチェーンソーで切り取られたみたいにボロリと外れ落ち、道路に引きずられ擦れるのと同時に火花がやたらと散り咲いた。  運転手の顔が見える。能面のような青白い表情で焦った様子もなく修介をみつめてにやりと口元だけで微笑んでみせた。  急ハンドルを切り修介のバイクに体当たりを数回食らわせる。  瞬間、高速装甲車両がミニガンをぶっ放しながら間に割って入ってくる。 「まーた、やつら最下位争いしてるのか」  周辺にたむろしている賞金稼ぎ達が情報をキャッチして口々に馬鹿にして笑っている。  修介の本星は後、六時間後に春木屋へとやって来るから、それまでにこいつだけは処理しておきたかった。けれど、ついさっき現れたクチシャというライバルが現れた所為で状況は泥沼の最下位争いに次元を落としてしまった。 遠くの高層ビルから無人機で修介とクチシャの動向を監視している男がいる。 サングラスを掛け、バスローブに身を包み、グラスにスコッチを注ぎ一息に飲み干し、窓を開け放ちそのまま150階にあるその部屋から勢いよくダイブした。 丁度その瞬間、ホログラフモニタに移る修介のバイクが爆風と共に宙返りしている時であった。 男の名はタナベと云い、修介と同じモデルの人口脊椎を持った片割れである。     
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