第三話

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 ざっと辺りを見渡せば、目に映るのは周囲の更地と岩と石と砂、あとは遠くにところどころ生えている草木ばかりで、何らかの手がかりになりそうなものは見当たらない。そもそも、探している『秘密』と言うものがどんな形をしている物なのかアグニとミーナには教えられていないのだから、手掛かりを探そうとする方が間違っているが。 「うむ、それについてなのだが」  言うのはジョイズ・モントレーだ。  ここに来るまでに何らかの手がかりを見つけていたのか、それとも、初めから情報をもってヘルズネクトへとやってきていたのか、ジョイズ・モントレーは言い置いてから、服についた汚れを気にするミーナへと視線を移し、こんなことを聞いた。 「ミーナと言ったか、そのネックレスについて少し聞かせてもらいたい」  純白の外套をめくって自分のお尻のあたりを汚れていないか見ていたミーナは、頭にクエスチョンマークを浮かべながらジョイズ・モントレーの巨体に向き直り、 「えっと、良いですけど……」  ネックレスに下がる銀板を見える様につまみあげてようやく、 「あれ? 光ってる」  ネックレスが光っていることに気が付いた。  ジョイズ・モントレーが言う。 「グリフォンが運ぶ荷台の上で光り始めた。それはおそらく、おぬしが父か母に渡された物だろうという事は、その銀板に彫られたメッセージから想像つくが、例えば、渡されたときに何かこう、言葉と一緒ではなかっただろうか?」  自分の持ち物を見るにしては不思議そうに目をぱちくりと瞬かせるミーナは、それを手の上に乗せて数秒、ふと、悲しそうに微笑んだ。 「生きていてって。あたしがこれを貰ったあの日、父様と母様は、そう言ってました」 「じゃあ、それは……あの時に?」  アグニの問いに小さく頷く。 「そっか。アグニにも話して無かったんだっけ。これを貰った時のことって」 「ん。ああ、聞いてない。俺はもっと小さい頃に貰ったもんだと思ってた」 「普通は、そうかも。でも、これはそうじゃないんだ」  ミーナは手のひらに乗る露草色のアウラを纏う銀板を見つめて、静かに話し始めた。
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