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圭介の方を向くと、眉をひそめてこっちを見ている。
そんなことないよ、って一言返しても、まだ機嫌が悪そうなままだ。失敗した。初めて恋人の家に来て、男友達の話題で盛り上がるなんて非常識だったかもしれない。
「け、圭介、ごめん……。でも、オカくんだしさ、圭介の友達だし、彼女さんだっているんでしょ? ヤキモチ焼く対象じゃないじゃん」
「……ヤキモチなんて、焼いてねーし」
口を尖らせて私に擦り寄ってきた圭介が少し可愛く見えた。
「まあ、確かに彼女が他の男の話ばっかりしてたって、相手がオカだったら気にする対象じゃないよな。だって、オカだし」
馬鹿にしているようだけど、きっと圭介はオカくんのことが大好きなんだろう。高校から一緒で、大学は同じ学部だったと言っていた。馬鹿にできるぐらいの信頼関係が、圭介の言葉から見える。
圭介がまた笑ってくれたから、私も笑い返した。
インスタのアカウントを検索するのは、やめた。
そのあと食器を片付けてから交代でお風呂に入って、二人で並んで歯を磨いたらなんだか照れ臭い気持ちになって。
「優佳、すげー好き。……いい?」
「……うん」
当然の流れみたいに、私と圭介は初めて肌を重ねた。
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