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「浮気って、……なんで? だ、誰と? え、村井くんにはバレてないんでしょ?」
「……優佳、慌てすぎ。そんなに一気に聞かれても、何から答えればいいのよ」
呆れたように沙貴に言われたから、ごめん、って返したけど、どうして私が謝ってるんだろう。腑に落ちないな、と思いながらも、普段強気な沙貴が相談してくるのは珍しいのでちゃんと話を聞くことにする。きっと多少なりとも困ってるはずだ。
「ま、まず……相手は?」
「……職場の、後輩」
「後輩、って信金の?? しかも年下??」
沙貴は頷いて、いきさつを話し始めた。
地元の信用金庫に勤めている沙貴。相手は今年から沙貴のいる支店に転勤してきた二つ下の後輩で、支店に慣れるまでは沙貴が彼の教育係のようなものも務めていたそう。先日、日頃のお礼ということで食事に誘われて、……そのまま一線を越えてしまったらしい。
「……そこでなんで着いてっちゃうのよ……。食事だけご馳走になって帰ってくればよかったのに」
「だって結構高めのコースだったし、……それに、わりと前からいいな、って思ってたから」
「……? 何を?」
「その後輩のこと」
そこまで聞いて、はぁ?? と大きな声が出ちゃいそうになったのを慌てて抑える。
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