92人が本棚に入れています
本棚に追加
「で? 一体いつの間にどんな流れで付き合ったわけ?」
沙貴がニヤニヤしながら、聞いてきた。
圭介が咳払いして、話し始める。
「……昨日、俺から、告った」
一気に二人が盛り上がる。
私は恥ずかしくなって目をそらした。
「へー、圭介がねー。
いやー、今日は面白くなりそうだな。あ、先に飲み物頼むか。優佳ちゃん、何がいい?」
メニュー表を渡してくれた岡本くんに、生、と答えると意外そうな顔をされた。
地味顔の自覚あるけど、私だって飲みときは飲む。
「んじゃ、とりあえず生4つだな。
すみませーん!」
岡本くんが注文してくれたビールはすぐに届いて、私たちは乾杯をした。
すぐに話の続きを促された圭介が、事の経緯を話し始める。
……お互い、もう何年も恋人がいなかった私たち。
連絡するときは毎回必ず「彼氏(彼女)できた?」っていう確認から始まる。
同じ県内だけど、車で2時間くらいかかる距離に住んでいる圭介とは社会人になってから気軽に会えなくなって。
お盆の予定を立てるために早めに連絡したら、そこから一ヶ月近くLINEが続いた。
おはようとか、おやすみとか。たわいもないやりとりを続けているうちに、見たいと思っていた映画が同じだということが発覚し、圭介が一緒に行く?と言ってくれた。
昨日、二人でその映画を観た帰り。
「……優佳が彼女になってくれたら、嬉しいんだけど」
って言われて。
最初は冗談かと思ったけど、圭介の顔が耳まで真っ赤だったから、わたしはうなずいたんだ。
……正直、「恋愛として好き」かはまだ微妙。
でも、誰よりわたしのことをわかってる異性は圭介だと思う。
一緒にいて楽だし、信用できるし。
今までとあんまり変わらず、自然体で付き合って行くことができると思う。
ひととおり馴れ初めを聞いた沙貴と岡本くんは、とても楽しそうで、お酒もすすんでる。
わたしは二杯目に頼んだ梅酒をちびちび舐めながら、ちらっと岡本くんを見た。
最初のコメントを投稿しよう!