1 恋人と、好きな人

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「大丈夫? 服とか、濡れなかった?」 「え……う、うん。ありがとう」 岡本くんが素早く周りを拭いてくれる。 ハンカチはきっと彼のものなんだろう。 汚しちゃったよね…… 「あの、ハンカチ、弁償するよ」 「え?ハンカチなんていいよ別に、汚れんのが仕事じゃん」 スマートで優しい岡本くんの対応に、圭介も沙貴も「さすが」なんて言って感心してる。 てか圭介、交際2日目とはいえそれでいいの? 「岡本くん、ありがとう。ごめんね?」 「いいえー、気にしないで。てか、みんなみたいに「オカ」でいいよ?俺もその方が呼び慣れてるし」 「……オカ、くん?」 おそるおそる言うと、オカくんは噴き出した。 「くん、って…!新しいな! てか優佳ちゃんって、小動物感あって可愛いよね。圭介いい子つかまえたなー、羨ましいわ」 ……! さらっと、そんなことを言って笑うなんて。 女たらしのような発言だけど、彼が言うとそんな感じではない。 ずるいよ、冗談でも、嬉しくなる。 「だろー?」なんて、ふざけて笑う圭介の方が見れない。 なんて単純な心なんだろう。 やばい、鳴るな、心臓……。
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