92人が本棚に入れています
本棚に追加
/87ページ
「大丈夫? 服とか、濡れなかった?」
「え……う、うん。ありがとう」
岡本くんが素早く周りを拭いてくれる。
ハンカチはきっと彼のものなんだろう。
汚しちゃったよね……
「あの、ハンカチ、弁償するよ」
「え?ハンカチなんていいよ別に、汚れんのが仕事じゃん」
スマートで優しい岡本くんの対応に、圭介も沙貴も「さすが」なんて言って感心してる。
てか圭介、交際2日目とはいえそれでいいの?
「岡本くん、ありがとう。ごめんね?」
「いいえー、気にしないで。てか、みんなみたいに「オカ」でいいよ?俺もその方が呼び慣れてるし」
「……オカ、くん?」
おそるおそる言うと、オカくんは噴き出した。
「くん、って…!新しいな!
てか優佳ちゃんって、小動物感あって可愛いよね。圭介いい子つかまえたなー、羨ましいわ」
……!
さらっと、そんなことを言って笑うなんて。
女たらしのような発言だけど、彼が言うとそんな感じではない。
ずるいよ、冗談でも、嬉しくなる。
「だろー?」なんて、ふざけて笑う圭介の方が見れない。
なんて単純な心なんだろう。
やばい、鳴るな、心臓……。
最初のコメントを投稿しよう!