1 恋人と、好きな人

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「じゃあ、俺もどるね」 「うん、また仕事でね」 「おー。優佳ちゃんも、またね」 大きく手を振って去っていったオカくんに、曖昧に笑って手を振り返す。 「また」会えるのかな。 会ってしまったら、もう戻れない場所に行ってしまうんじゃないか。 そんな不安が頭をよぎる。 わたしには圭介っていう彼氏ができたばっかり。 オカくんには3年付き合ってる彼女がいる。 オカくんのことを好き、って思っても、付き合うことはできない。 もし圭介と別れてオカくんに告白したら、最低だと思う。 きっと一時の気の迷い、ってやつ。 それにわたしはオカくんの連絡先だって知らないから、みんなで集まらない限りは会うことだってない。 大丈夫、わたしの彼氏は圭介だもん。 気持ちを紛らわすみたいに、少し遠い場所にいる圭介にLINEを打った。 すぐに帰ってきた返信に、ちゃんと嬉しくなる。 ……ほら、大丈夫。 next…
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