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「じゃあ、俺もどるね」
「うん、また仕事でね」
「おー。優佳ちゃんも、またね」
大きく手を振って去っていったオカくんに、曖昧に笑って手を振り返す。
「また」会えるのかな。
会ってしまったら、もう戻れない場所に行ってしまうんじゃないか。
そんな不安が頭をよぎる。
わたしには圭介っていう彼氏ができたばっかり。
オカくんには3年付き合ってる彼女がいる。
オカくんのことを好き、って思っても、付き合うことはできない。
もし圭介と別れてオカくんに告白したら、最低だと思う。
きっと一時の気の迷い、ってやつ。
それにわたしはオカくんの連絡先だって知らないから、みんなで集まらない限りは会うことだってない。
大丈夫、わたしの彼氏は圭介だもん。
気持ちを紛らわすみたいに、少し遠い場所にいる圭介にLINEを打った。
すぐに帰ってきた返信に、ちゃんと嬉しくなる。
……ほら、大丈夫。
next…
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