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あれから一ヶ月、圭介との交際は順調に進んだ。
オカくんのことだって、会わなければなんとも思うことはない。
「……週末、家こない?泊まりで」
「え……」
電話口に圭介からそう言われて、心臓が跳ねる。
それって、つまり。
…って、わたしも圭介ももういい大人だもん。
こんなことでいちいち動揺してちゃダメだ。
金曜日の夜、仕事終わりに家に帰って着替えてから電車に乗って圭介の住む最寄駅へと向かう。
軽く一時間くらいかかるから、やっぱり少し遠いところに住んでるんだな、って実感する。
圭介は仕事が長引いたみたいで、スーツ姿のまま車で迎えにきてくれた。
友達だったときは見たことがなかった姿に、少しドキッとする。
「今日親子丼にするけどいい?」
「え、圭介が作るの?」
「おー。もう帰って材料煮るだけにしてあるんだ。男飯、って感じだけど、食べてみてもらおうかなって思って」
はじめて訪れた圭介の一人暮らしのアパートは、思っていたより広くて。
「ひろーい、何人か泊まれそうだね」
「そうか?まぁ、俺と優佳二人ぐらいなら余裕で生活できそうだな」
顔をあげると、圭介は少し赤い顔で目をそらした。
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