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この惑星に嫌われてから、君は生きる執着を既に手放している。酸素を毒と見なし。だが、何の気体が快適かは今の最新医療を以てしても分からない。そんな君を生かす為だけに、彼は大枚叩いて。致死量にならないギリギリの濃度。窒息にならないギリギリの濃度。人工的気体に満ちた空間を作り。君をそこに数か月間も生き永らえさせながら置いている。きっと君は口にも顔にも態度にも出さないが。
ヘドが出ると感じているだろう。
生きるだけの屍。生きて何かをするでもなくただ、生きるだけ。そこに意味はない。生きる事は素晴らしくない。生きて何か為す事が素晴らしいのに、君は生きて何も為してはいない。楽しい事も悲しい事もつまらない事も腹が立つ事も何もない。唯一の楽しみは彼と抱き合える事。
………おや?
そうかい。こんな状態の君にも、楽しい事はあるようだね。
あれから君は笑う事もしなくなった。呼吸をなるべく最小限に留める為に。
あれから君は泣く事もしなくなった。呼吸をなるべく最小限に留める為に。
あれから君は独り言もしなくなった。呼吸をなるべく最小限に留める為に…。
あぁ、まただ。
君はまた、死にたくなっただろう。
通算、758,349回目の自殺願望。
通算、758,349回目の自殺未遂。
ここで君がまた死にたいなんてほざいた日には。ここで君が自分で何かしらの自殺に関するアクションを起こした日には、また彼は泣くだろう。
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