1.新卒サラリーマンに癒しを。

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「なんだその話し方は! 気持ちが悪いのう!」 「ジロちゃん、落ち着いて。冬馬くんが悪い子だったら、さゆりちゃんがすぐに追い出してると思うよ」  穏やかな溝口さんにたしなめられ、鈴木のおっさんは気まずそうな顔で水を飲んでいた。 「まあ、それだけさゆりちゃんが魅力的だという証拠でしょう。冬馬くんのような年下の男性にさえも愛されてしまうのですから」 「あ、愛って! 俺はそんな……」  ダンディーな石川さんの口からとんでもない言葉が飛び出してきて、焦ってトレイを落としそうになった。コップをテーブルに置いた後でよかったと思う。 「こんな小僧にさゆりちゃんは任せられんわ。まだ竹内のほうが似合っとる」 「そんなん、ただ社会人ってだけじゃないすか。俺だって、あと十年経てば立派に働いてるし!」  溝口さんたちが間に入ってくれても、俺と鈴木のおっさんの口論は止まらない。 ――止められるのはさゆりさんと、彼女の淹れるコーヒーの香りだけだ。    
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