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お客さんが全くいないという状況はあまりないけれど、繁盛しているとはいえないこの店。サービスばっかりして赤字にならないのか、とアルバイトの俺ですら心配してしまう。
でも、俺はこの心配事を本人に聞くことができない。自分の首を絞めることになるからだ。
「さゆりちゃん、メニューにないものなのにすみません。赤字になっていないでしょうか?」
「正直にいえば、経営はいつも厳しいですけど……みなさんにはかなり売上貢献していただいていますから。このくらいのサービスは当然ですよ」
「経営が厳しいなら、まずは人件費削減からしたほうがええぞ」
鈴木のおっさんの指摘は悔しいけれどまさにその通りで、まったく言い訳できないと思った。
俺が来るまでは、さゆりさんは一人で店を切り盛りしていた。
四人掛けのテーブル席一組とカウンター四席という小さい店だし、ひっきりなしに客が来ることもない。一人でも十分接客できると思う。
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