0.プロローグ~出会い~

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  「はい、どうぞ」 「えっ? 頼んでませんけど……」 「これ、私からのサービスです」  テーブルに置かれたのは、ごく一般的なショートケーキだった。 「またさゆりちゃん、そんなことして!」  鈴木のおっさんは懲りずに茶々をいれる。他の二人から「まあまあ」となだめられ、再びおとなしくなった。 「ハンカチまでもらって、ケーキまで……申し訳ないです」 「いいんですよ。私が勝手におせっかいを焼いているだけですから。それより、ショートケーキって、なんだかご褒美って感じがしませんか?」 「ご褒美、ですか?」  さゆりさんは笑顔で両手を合わせている。普通の仕草なのに、なぜか可愛らしく見える。  いや、違うな。さゆりさんは何をしても素敵なんだろう。 「はい。だから、今日試合に頑張ったご褒美として召し上がって下さい」 「でも、俺は――」 「――後悔するような結果だったかもしれない。誰かに責められてしまうかもしれない。それでも、一生懸命、全力を出し切ったんですよね?」  
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