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「これが…。」
目の前に置かれた小さな小瓶を俺は見つめる。
ついに届いたという幸福と少しの不安が俺の心中を渦巻いていた。
紫色をした高さ10センチくらいの小瓶。
ほんとにこんな少量で大丈夫なのだろうか。
まぁ確かにバニラエッセンスでも数滴垂らせばその真価を発揮するが。
そもそも俺がこんなものを買ってしまったのは爽の一言だった。
あの件を少しだけ克服した俺は今まで通りとはいかないものの学校に通えている。
最初は爽もたくやんも震える俺を見てたくさん世話してくれたりフォローしてくれたりした。
そのおかげか今では週3日学校に通えている。
それも二人の助けなしで。
それこそ、二人はあったら心配してくれるが前みたいに授業でもピッタリくっつくということはなくなった。
先生も事情を知って知らずがその状態を放置され、周りからは栄養が足りてないんだよ、と囃された。
そんなある日、俺は久し振りに部活棟の方へ足を向けていた。
まだ、本調子ではないので同じ部活の先輩や同級生には迷惑をかけてしまっているがみんな笑ってそれを受け止めてくれた。
それでも自分だけでない、というのは罪悪感の積もるもので。
少しだけとあの二人には見つからないようにやってきたのだ。
だからあの二人の声が聞こえたときは思わず悲鳴を上げそうになった。
生憎自分が居る位置は死角になっていて二人からは見えないらしい。
なんとなくあの二人が俺抜きで話していることが新鮮で俺はその場にとどまることにした。
「それにしても、もう大丈夫なんちゃう?」
たくやんがスポドリを飲みながら言った。
「わからないよ、僕だって拒まれることを考えると中々ね。」
と笑う爽。
二人ともなんの話をしているのだろう、俺にはわからなかった。
「ふぅん。じゃあ溜まってるんちゃうか?」
「別に。稜の事想像してオナってるんで。」
は?
え、誰が誰を想像してオナってるって?
突然名前を呼ばれたことにも驚いたがその後の爆弾発言に頭がうまく回らない。
その間にも二人の会話は進んでいく。
「うわー君の性事情なんて聞きとうないわー。」
「それはあなただって変わらないでしょ。そりゃあ僕だってしたいけど。」
「何かないん?したいプレイとかさ。」
「はぁ?そんなのないよ。あるとすれば」
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