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ハヤミと呼ばれたセーラー服の女は一瞬にして30メートルの距離から佐々木のすぐ隣まで近づいてきた。あまりの速さに空気が震える。ハヤミも佐々木が生み出したキャラであるがゆえに、他人から見えない。
「いや、このハヤミに関しては動きが速過ぎて普通の人には見えない、って設定だから。ヤマゲロも天使だから普通は見えないって設定一応あるから」
ああ、佐々木はこうやって虚しく独り言を垂れ流すのだ。まったく寂しい男だ。新宿で寂しく独り言を垂れ流す男の孤独感と言ったら!
「お前も捨てたはずなんだがな、ラッセル」
ああ、この佐々木という男はどこまでうざいのだろう。なぜ私の名前を唐突に呼ぶのか。
「登場人物のことをこっそりと追いかけていて、飽きたら話を終わらせる男、オワ・ラッセル。お前は存在自体が終わってるから始まりもしなかったな!」
ああ、なんてうざい男なんだ、佐々木は!
もう終わりだ!こんなしょうもない話は終わりだ!
こうしてこの物語は唐突に終わる。
(終わり)
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