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そして、まことに残念なことにこの物語はもう少しだけ続いてしまう。
「まあ待ちなさいよ。ハヤミちゃんのこと聞かなきゃ」
ヤマゲロにぶん殴られて私は終わらせることができなかったのだ。ああ、何と言うことだ。
(終わり)とは「終わると見せかけ、わけあって続く、りょうかいして?」の意味になってしまった。情けない。
「ハヤミこそもういいよ。どうせ大して面白いことしゃべるわけじゃねえだろ!」
そうのたまう佐々木の前に立つハヤミ。おもむろに高速でパンチを繰り出す凶暴性を見せる。
あまりの速さに空気が震えた。佐々木は目の前で寸止めされたこぶしに驚きを隠せない。
「こえー。この女こえーわー。まあそりゃ正義のヒーローだもんな。悪い奴を人知れずバッタバッタと倒していくスーパーヒロインだもんな、ハヤミ」
ハヤミは極めて冷静である。表情が変わらない。
「私がヒーローだかヒロインだかはどうでもいい。だが、私はとにかく世にはびこる悪が許せないんだ。私の目に入った悪い奴は全員ぶっ倒す」
「はいはい、そう言って人知れず悪い奴を夜な夜な倒してるんだよね。で、あまりに高速で動くから悪い奴も何が起きたか分からないんだよね。うんうん、すごいわ。でも、そんなヒーロー、ヒロインを俺は描けないんだよ!たしか10万字くらいの小説でも挑戦してるし、漫画でも挑戦しようとしたけど描けないんだ!お前のことは前から気になってるがもう捨てる!もう今度こそ捨てる!」
「お前が私のことをどう思ってるかなんて知らないし興味はない。私を捨てるも何も私はお前の世話になった覚えもない」
「ほら、クールな顔してこういうこと言うキャラなんだよ、面白くなるわけねえんだよ」
「ちょっと今から悪者退治してくる。アプリあるだろ?それで通話できるから」
そう言って、ハヤミは一瞬にして姿を消した。
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