新宿でハヤミハヤミに怒られた

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佐々木がそうつぶやいてためいきをついたところで、ハヤミが戻ってきた。一瞬にして姿を現したのだ。 「夜な夜なマスクで変装してこっそりと悪い奴をこらしめてる音速女子高生ハヤミさん、お帰り。もう分かったろ?俺じゃ、お前のようなまっすぐな性格の正義の味方は扱えねえんだよ。俺はヒーローを描く柄じゃねえんだ!」 佐々木は、そうぼやく。ああ、その姿は本当に情けない。色々の自分の可能性を自ら捨ててきた人間というのは、こうやって自分ができない言い訳を探すのだろう。 「お前が何を諦めて何を捨てたのかなんて、私には興味がない。だから私は、私が思う通りに、これからも目についた悪党はたたきのめしていく。それが私が生まれた意味だから」 低い声でこう話してくれるわけだ、ハヤミという女は。その声は冷たくも聞こえるが、目の奥は熱く光っている。
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