秋葉原でヤマノテライン・アンゲロスに出会った

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佐々木はクリエイティビティを捨てた。 絵画に使ってた絵の具もスケッチブックも全部捨てた。 漫画に使ってたコピックも描き方本も全て捨てた。 写真撮りまくってたデジカメも捨てたし、音楽の為のキーボードもトランペットもハーモニカも全部捨てたんだ。 これでせいせいする。 もう何かを作ることに悩まなくていいんだと。人の評価を気にする必要はねえんだと。 ただ単に無駄に人生を過ごして、人が作ってるもんにケチつけて、うまくもねえスーパーやコンビニのおにぎりをかじってれば充分だったはずなんだ。 いや、それこそがまっとうな人生なんだと、動画をずっと観ていいね!つけてれば、それだけで人生がいいね!と思えるはずだったんだ。 だが、どうにも具合がおかしい。体のどこかが悪いわけじゃない、どうにもおかしなもんが見えるんだ。 それは車の間で棒高跳びしてる幽霊の軍団だったり、落ちてきそうな神殿から顔を出す出前の親父だったり、カードをきる手で東京タワーをきってしまう手品師だったりするんだが、そういう訳が分からない存在をどうしても捨てたかったんだ、佐々木は。
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