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「とりあえずはこれで大丈夫ね。早くあの子が起きてくれるといいんだけど…。」
彼女は漣の馬達をふと見て、足に傷がある事に気がついた。それから、壊れた馬小屋の柵を見た。
「あなた達、本当にいい子ね。ごめんなさい気が付かなくて、私も流石に余裕が無かったみたい。」
少し苦しそうな笑みを浮かべた。だが、すぐに傷口を消毒した。馬達は彼女のことを信頼したようで、暴れることは無かった。その後馬小屋にあった餌を馬達に与え、彼女はまた家に戻った。
漣が眠るベットの横の椅子に腰をかける。
「一体どうして…。」
大きなため息をつく。流石に心への負担が大きかったようだ。色々な考えを巡らせる。
(お父さんの傷の様子から見て相当な力で抉られているようだったけれど、獣の類だとしたらどうして食べられていなかったのかしら。それに、この辺にそんな力を持つ獣なんているの?でも、人間だとも考えにくいし…。もしかして…。いや、それはありえないか…。大体こんな所にいてまたソイツが戻ってきたら…?ダメダメ、私がパニックに陥ったらこの子を助けられない。この子何歳なんだろう。私より何歳か年下に見えるけど…。)
そのとき、漣の目がうっすらと開いた。すかさず声を掛ける。
「聞こえますか?聞こえますか?」
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