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2人は他愛のない会話をしながら馬を走らせ、泉へ向かった。泉に近づくにつれて、道にも草が生い茂り、木々の隙間から鹿などの動物も見える。ここに来る人間は2人だけだろう。
「よし、着いたな。」
2人は馬に水を飲ませ、木に繋いだ。
「お父さん、稽古始めよう。」
「あぁ、お前がどのくらい成長したのか見てやるよ。」
「うん、たのしみにしててよ。」
2人は剣を抜き、構えた。
「さぁ、いつでも来い。」
漣の剣の腕前は、子供とは思えないほどだ。最近は魔法族である母親から魔法も学んでいて、簡単な魔法を交えながら剣を使う。
「おっと、なかなか強くなったな。でも、父さんに勝つにはまだまだだな。」
「じゃあ、新しい魔法を試そうかな。」
『ブリュム』
父親の視界は発生した靄で白くなる。漣の姿も見えなくなった。
『フロテ』
空中浮遊の魔法で足音も聞こえなくなった。
漣は、右斜め上から父親が右側に構えている剣を狙う。すると、父親はくるりと後ろを向き見えていないはずの漣の剣を寸分の狂いもなく狙い、弾き飛ばした。
「わっ!どうして?」
かかっていた靄が晴れる。
「まだ気配を消せてないな。」
「そうなんだ。気配か…。」
「でも、剣も魔法も確実に上手くなってるぞ。」
父親は漣の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「良かったー。練習したかいがあったよ。僕ちょっと疲れたな、ここでお昼食べていこう?」
「そうだな、やっぱり魔法を使うと体力が削られるみたいだな。」2人は近くにあった倒木に腰掛けた。
「漣はもう15歳か、大きくなったもんだな。」
「僕はいつ神山家の当主になれるかな。」
「そうだな、そう遠くは無いさ、父さんがお前の実力を認める日は。」
「本当に?もっと頑張らなきゃ。」
「お前に当主の座を譲るときは父さんの1番大切にしてる剣をやるよ。それに、父さんだって何があるか分からないぞ。もし父さんが家を守れなくなる時が来れば、それはお前に当主の座を譲る時だ。」
「うん、でも僕は出来れば父さんを倒して当主になりたいな。その方が自信を持って父さんの剣を使えるし。」
「おう、待ってるぞ。」
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