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父親もその音に気がついたようで、勢いよく家の扉を開けて飛び出してきた、母親はまだ家の中にいるようだ。
「漣!地下に隠れろ!父さんが呼ぶまで出てくるな!」
「父さん…!?」
馬小屋には、地下に続く扉があった。物置になっていて、今はほとんど使っていない。漣は何が何だか分からなかったが、扉を開け、蜘蛛の巣が張っている薄暗い地下室に入った。地下室に入っても外の音が聞こえてきた。獣は複数いるようだ。
「この野郎!立ち去れ!」
父親の怒号が聞こえてくる。
「あなた!少し離れて!」
『グラス!』
母親も魔法で加勢しているようだ。獣に当たったようで、金切り声が聞こえる。漣はパニックに陥って、攻防が一瞬だったのか、しばらく続いたのか分からなかったが、そのうちにこの世のものとは思えないほど悲痛な叫びが聞こえた。父親のものだった。
「ぐぁぁ!あぁぁぁぁぁぁぁ!」
「キャー!やめて!あなた!あなたぁぁぁ!死なないで!」
母親もパニックで上手く魔法を唱えられないのだろう。漣の頬は涙で濡れていた。震えが止まらない。
「はっ…はぁっ。…父さん??母…さん?」
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