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私の名前はミオ。
リューグとアンナの娘、ミオだ。
「ミオ。水を汲んできて」
「はーい」
朝起きると、母を手伝って朝御飯を作る。それが毎朝の勤めだ。
水瓶を持って外に出ると、庭で遊んでいた茶色の小鳥達が羽ばたいて木の枝に逃げていった。ヒノピリという名前だと、村のおじじ様に聞いた。
可愛らしい声でさえずるヒノピリは、つがいらしく仲良くお互いの頭を毛づくろいしている。
はあ、と溜め息が口から漏れた。
ヒノピリを羨ましいと思うなんて……重症だ。
私は元気のない足取りで井戸に向かった。
考えるのは、幼なじみのことだ。
艶やかな黒い猫の耳と尻尾を持つ、ケットシーの青年。
私はもう何年も彼からの求婚を待っている。
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