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そうだね、暑いもんね、と呟いて馬車の中に身を引っ込めた少年に続いて、トカゲもするんと入ってくる。そのまま椅子に座った少年の足元まで来たトカゲは、後脚だけで立ち上がって少年を見つめ、こてん、こてん、と二度首を傾げた。
その所作の意味するところをなんとなく察した少年が、トカゲの方へとそっと手を伸ばす。
「おいで、ティアくん。お昼寝の続き、しよっか」
そう言って控えめに微笑んだ少年に、トカゲは嬉しそうにぴょんと跳んでみせた。そしてそのまま、倒れ込むようにして少年の掌に抱きつく。小さな手にぎゅっとしがみつかれて、少年はふふっと笑った。
炎獄蜥蜴であるティアの体温はとても高い。掌に直に伝わるその温もりを優しく撫でつつ、少年はトカゲを膝の上に置いた。そうすれば、くありと大きく欠伸をしたトカゲが、居心地の良い場所を選んでくるんと身を丸める。
「今度こそゆっくり寝てね。おやすみ、ティアくん」
少年の言葉に応えるように、瞼を閉じたトカゲがその頬を少年の掌にすりつけた。そんな愛らしい様子にやはり小さく笑ってから、少年がトカゲを撫でる。優しく労るようなその手付きが心地良かったのか、護衛としての仕事をこなしたトカゲは、すぐにすよすよと寝息を立て始めるのだった。
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