カフェ

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愛子は高校のときからの私の親友だ。 高校二年生の秋、女子高に通う愛子と私は興味本位で近くの共学の高校の文化祭を見に行った。 そこで声をかけてきたのが中川章大だった。 彼はその学校の生徒で、体育館で彼が組んでいるバンドが演奏するから見に来てよと誘ってきた。 生まれて初めてナンパしちゃったよと彼も、彼の友達もハニカミながら、私たちも慣れない男子との会話に緊張しながら見に行った。 正直バンドはただうるさいだけでよくわからなかったけれど、ステージの上で彼は汗をまきながら必死に歌っていた。 それから愛子と章大すぐに付き合いだし、もう6年経つ。 大学1年生のときケンカをして別れて、二年越しに再び付き合いだした経緯があるから、実際の交際期間は三年くらいだろうか。 趣味も好みの男性のタイプもコロコロ変わる飽き性の愛子が、同じ人と一度別れたとは言え、こんなに長く付き合い続けているなんて、と周りの友人たちもよく不思議がっていた。 「加奈、会社でいい人見つかった?もうそろそろ新しい彼氏つくりなよ。まだ前に振られたこと引きずってるの?」  一通り彼氏の愚痴を言い終えた愛子は今度は私に聞いてきた。 「ううん。もう引きずってないよ。もう結構たつし」 「よかった。加奈かわいいんだから彼氏つくらないともったいないよ!」  愛子はきれいな二重瞼の大きな目を見開いてそう言いきった。
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